タロットアートで世界を探求する セレスティアルスペース

モヒートの思ひで

モヒートの思ひで







ハバナ、そして美しく甘い香りのモヒート


日に日に暑さが増している。

6月ということもあり、雨が多く、蒸してじっとりする感触が

どうも不快な気持ちをよぎらせるが

それでも時々雲間から顔を覗かせる太陽を見ると

ようやく晴れた、という安堵感が湧き上がってくる。



人はいつでも、いつのまにか、太陽に焦がれるものなのかもしれない。






こうも蒸して気温が上がり始めると

毎年のことではあるが、のど越し爽やかな炭酸系の飲み物が欲しくなってくる。


今は自分の体調を考える年齢に達したせいか、

ビールなどのアルコール類は極力避け、

水を飲むようにしている。



この季節は、ビールを飲みたい欲求を極力しりぞけ、

炭酸水を口にすることになる。



今年はミントの栽培を始めた。

栽培というよりは、ミントの苗を鉢に植えただけのぞんざいでシンプルなものだ。



これは、モヒートというカクテル用に使用されているミントです





ネットショップ広告のこの一文を目にした瞬間、迷うことなくポチっと押していた。



モヒート。

思い出すのは

キューバで体に流し込んだあのモヒート。

うだるような強烈な日差し。

街の人々がやけに騒がしく、賑やかで

そして音楽がいつも流れている、そんな街、ハバナ。






もっと危険な街を想像していたものの

心に沁みわたってくるように響いてきたもの

それは



やけに幸福そうで

天から注がれる日差しを全身で受け止める

そんな素直さが滲み出る人々の姿と

優し気な眼差しだった。






正直、ここには何の目的もなく、訪れた。

ただ、ひとつだけ、どうしてもやりたかったこと


それは、キューバでモヒートを飲みたい


本当に、たったそれだけで辿り着いた場所だ。

はるばる日本から到着したのに

たったそれだけ?

と誰かに言われてしまいそうな、

そんな薄い理由だ。


薄い?

でも

私がしたかったのはたったそれだけだった。


暑さの中を歩きまわり、ほどほどに足が疲れを感じ始めた。

夕刻になってもまだまだ暑い日差しの余韻が残るなか、

私はヘミングウェイが通ったというバーを探し求めて引き続き歩き続けた。



ガイドブックを何度も見直して

写真で何度も目にしたバーの看板が目に留まった。

私は疲れた足を引きあげながら階段をゆっくり昇り

バーのドアを開け、

カウンターに腰を下ろして

モヒートをオーダーした。


まだ時間が早く客が少なかったせいか、

モヒートはすぐに目の前に運ばれてきた。


栽培しているミントと同じ色をしたミントだったと記憶している。


たっぷり使われた甘い香りのミントの葉が

グラスの中で甘いエキスを香しく放ち続けている。

冷えたクラスが手に心地よく、

私はグラスごと持ち上げて

ごくりと音を立てて飲み込んだ。

旨い。



言葉にしようもない芳香なおいしさだ。





このミントの葉は、日本のモヒートで使われているミントとは

少し異なる種類だという。

そのせいだろうか。。。


今まで味わったことのない特別なモヒート。





ここまで来た甲斐があった

モヒートとヘミングウェイ。

なんとなくそんなことを考えながら

一気にモヒートを飲み干してしまった。

氷がちゃりんと空のグラスの中で音をたてる。

うまい、もう一杯

って青汁じゃないんだから、

しかも古い。。。

と一人で心の中で軽くボケとツッコミを繰り返しながら

やはりもう一杯、飲みたい欲求にかられる。



・・・そんな、モヒートの思ひで。

今、庭で栽培しているのは

本場キューバで使用されている甘い香りがかぐわしいミントの葉だ。

ようやく、あの本場のモヒートが味わえる・・・

さて、今日は老人と海でも読みながら

モヒートを自宅で作ろう。





もしかしたら夢の中で

再びあのハバナの暑い日々が

よみがえってくるかもしれない

などと期待しながら。


でも、ハバナの暑く突き刺さるような日差しは

忘れるどころか

私の感覚に強烈に突き刺さったまま

生涯残り続けるはずだ。




・・・ま、キューバ行ったことないんだけどね。








オサレなモヒートでこの夏を乗り切っちゃうぞ。









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